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毎日 五禽戯!

神奈川気功太極拳倶楽部・横浜武術院が普及活動を行っている「伝統華佗五禽戯」・・名前は聞いたことがあるけれど、たまに練習はするけど・・実際のところ「五禽戯って?」、「健身気功と伝統の違いは?」、練習中だと動作を行いながら解説を聞くので「聞き逃しちゃった💦」なんてことありますよね!そんな疑問・質問に答えられたらと・・ミニシリーズをご用意しました。少しずつですが更新していきますので、みなさんの練習の参考になればと願っております。

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 五禽戯の成立は中国後漢時代末(2世紀頃)、約1800年のという長い歴史を持っています。古代中国の民間に伝わっていた導引という健康体操を基に、「神医」と呼ばれていた「華佗・かだ」によって作られた体力増強法です。
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 この「伝統華佗五禽戯」の動作や理論をもとに、上海体育大学が研究をして、編集したものが「健身気功 五禽戯」(2002年)になります。共通した動作は少ないのですが、その要素をふんだんに取り入れて作られています。
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 神奈川気功太極拳倶楽部・横浜武術院 代表の成澤先生は13歳の頃より武術を学び、選手時代は棍術をはじめとする武術の選手でした。それがどのようなことがきっかけで「養生・導引」を学ぶことになったのか、ご紹介したいと思います。
 1982年 成澤先生が13歳の時に中国武術をはじめ、1984年に全日本太極拳協会に移籍、そこで上海より来日されていた杜進老師に師事、翌年85年に杜老師のご紹介で上海体育学院で学習する機会を得て、学院教授の邱丕相老師(現中国武術最高位九段)と出会いました。邱老師は養生学・養生功の専門家でもあり、1998年に(社)全国大学体育連合の招きで「馬王堆導引術」の指導で来日されることを知り、この講習会で「伝統中国気功運動の源流・ルーツ」である馬王堆導引術(邱式)の技法と理論を学びました。再会した邱老師から「君はいくつになった」と聞かれ、当時29歳だった成澤先生に、「もう30歳だね、君はこれから馬王堆導引術だけでなく、養生学もしっかりと学ぶといい。機会があれば、また上海に勉強にお出で」とアドバイスをいただいたそうです。
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 2001年に競技選手を引退、コーチに就任した後は、スポーツクラブやフィットネスを中心に指導を行っていましたが、いつも多くの方々から「健康不安」についての話を聞き、その具体的な解決方法と実践を考えた結果、2002年から再び上海体育学院を訪れ、「四季養生学」と馬王堆導引術、五禽戯、八段錦をはじめとする「健身気功」を学び始めたそうです。邱老師からは多くの関連書物を頂き、陰陽論と四季養生学について「陰陽二気・二十四節気を学びながら、同時進行で四季の移り変わりや年間を通じて世間に広まる流行り病など、少なくとも3年は1日も休まずに観察し、養生学の理論を実践して理解を深める」ことの必要性を諭され、「君なら頑張れるはず」と励まされたそうです。
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 養生学・養生功の実践と効能は「呼吸運動:肺呼吸強化」「全身運動:心機能の安定」「意識運動:脳の活性化」の3種類が特徴とのことで、お教室でも毎回のように解説が行われています。邱老師の教えを受け、成澤先生が、日々 観察と研究を積み重ねてきたことが、どのような形で今現在に至るかは、先生のレッスンプログラム内容からみなさんも実感していることと思います。
養生導引操 2020の解説👆
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 成澤先生と伝統華佗 五禽戯 との出会いは・・安徽省武術隊に短期留学をしていた頃にお世話になった兄弟子 賈平老師と上海で再会したのがご縁の始まりだそうです。
賈平老師 長拳👆
 賈平老師の故郷 安徽省には、3600年の歴史ある古都 亳州市という場所があります。この地は 4人の偉人「老子、荘子、曹操、そして神医華佗」の郷里で、伝統華佗 五禽戯の発祥地でもあります。そこに五禽戯研修交流会をしないかと勧められたそうです。ちょうど亳州市の五禽戯が「国家級非物質文化遺産」の認定を受け、海外での普及人員を要請したいという要望があり、賈平老師の紹介で、2007年11月に初訪問が実現しました。
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 当時89歳の第57代伝人、薫文煥老師から五禽戯の技法と養生学の理論講義を受け、日本人第1号の五禽戯伝承者として日本国内での普及を奨励されました。
成澤先生 陳式太極拳(華祖庵にて)👆
 その後2009年には5月に研修で訪れ、9月にはもう一度訪中して、第1回中国健身気功博覧会・五禽戯健身養生節に日本人継承者として招待を受け、エキシビジョンを行いました。
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 五禽戯 発祥の地「亳州市」のご紹介をします。安徽省の西北に位置する亳州市は約3,700年の歴史があり、亳州と名付けられたのは唐の時代で、それ以前は「亳」、三国志の時代 後漢末には「譙(しょう)/譙郡」と呼ばれていました。1996年に発見された亳州市蒙城県の「尉遅寺(いちじ)遺跡」によって中国最古の村落とされ、殷の時代(商朝)にはすでに経済や文化が発達していたと言われています。「曹操、華佗」の出身地であり、そして「老子、荘子」といった多くの偉人も輩出しています。
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 亳州市の気候や地質は薬草栽培に適していて、昔から「薬都」と呼ばれていました。市を代表する花は芍薬、そして「亳菊花」の栽培地としても有名です。中国の各都市から生薬が集まり、取引がされ、現代も中国薬材交易センターは、中国最大規模を誇っています。
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 亳州市の駅の改札口を出るとまず初めに大きな曹操の像が出迎えてくれます。町の建物や橋などの柱には偉人たちの残した漢詩が刻まれ、薬膳レストランのお店に入ると華佗の像が祀られています。そして華佗が創始した「五禽戯」は今もなお町の人々の健康体操として大切に伝承されています。
伝統華佗五禽戯13式 虎戯 教材映像👆
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 今回は「五禽戯」の生みの親「華佗」についてご紹介します。華佗(?‐建安13年)・・・字(男子が成人後、実名のほかにつけた名のこと)は元化、諱(生前の徳行によって死後に贈る称号のこと)は不明。本貫(律令制で戸籍に記載された土地のこと)は豫州沛(はい)国、譙(しょう)県…現在の安徽省亳州市譙城区(または河南省商丘市永城市)の人で、徐州で学び、多くの経書に通じていたそうです。
 華佗は鍼灸と漢方方剤(薬の処方)に長けていて、病気治療のために薬を煎じる場合には、数種の薬剤を目分量できちんと調合することができ、秤を用いることはなかったそうです。また「養性格の術:生命を養い長生をはかる方法」にも詳しく、薬を煎じ飲ませる飲ませると、あとは養生法を告げるというのが治療の方法と紹介されています。麻酔(麻沸散)を最初に発明し、麻酔薬を使って腹部切開手術を行ったり、彼の偉業をたたえ「神医」とされています。
 実は日本ではお正月におなじみの「屠蘇(邪気を払い延命を願って、年の初めに飲む薬酒のこと)」を作ったのも華佗です。その他、三国志ファンには曹操の典医として、そして太極拳や健身気功 愛好者には「五禽戯」の創始者としても広く知られています。
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 華佗は「養性格の術」を治療に取り入れていたとのことですが、「養性」というのは「生命を養い長生をはかること」、「長生」とは中国語で「長寿」という意味で、『荘子』の「養生主」の一編では「天理の自然にしたがうことが養生の秘訣である」と解説されています。歴史書『正史三国志(陳寿 233~297)』の中の魏書「方技伝 第二十九 華佗伝」の中で「私(華佗)にも一つ長生法があり、それを五禽之戯と名づけている」、「この運動(五禽之戯)を行う事で、病気が予防できるだけでなく、足腰も鍛えることができ・・」、「身体に調子の悪いところがある時にひとつの動物の戯を行えばびっしょりと汗をかき、身体は軽々とし、腹も減って、食欲がわく・・」というところから、華佗の「養性格の術」のひとつが「五禽戯」ということです。
 亳州市の町のあちこちに華佗の像はあり、五禽戯は36流派あるといわれているほど大切に受け継がれています。その中で伝統華佗五禽戯倶楽部の薫文煥老師の継承して来た「華佗五禽戯54式」は非物質文化遺産として2007年に安徽省人民政府に認定され、後に国家級非物質文化遺産になっています。
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 何回かに分けて、「五禽戯」についてご紹介させていただきました。簡単ではありますが、習い始めて最初に感じる「五禽戯って何?」「伝統?健身気功?」「華佗って?」「なんでお教室で練習するの?」についての理解に繋がればなぁと思います。
 ここからは先生のレッスン中の解説やブログ、そして私自身が学んできた中医養生、薬膳と介護予防運動の知識などと合わせて、少しずつ「五禽戯の理論」について、ご紹介していこうと思います。ですが、何分 私自身も学びの最中なので、理解不足のための間違いなども出てくるかと思います。私もみなさんと一緒に練習に参加しながら「あれ?勘違いしてた??」「なるほど!そう言うことだったのか!!」となったときには、その都度 記事内容を編集していこうと思っています。
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 「五禽戯(ごきんぎ)」英語では「Wuqixi・Five Animal Frolics」は1800年の歴史を持つ中国発祥の体力増強法です。古代から民間に伝わっていた健康法より5種類の動物の動作を選び、陰陽五行思想や中医学の哲理をふまえ五臓六腑を活性化できるようにした気功体操(動気功・動功)のひとつです。
 「五禽戯を練習することで、体の働きを高めることができるだけではなく、体の仕組みや働きについて知るきっかけにもなるので、より自身の健康維持に役立ち、健やかに過ごすことにつながる」と成澤先生はよく練習の際に話しています。ここ数年の間は多少の不調で病院には来ないで欲しい・・という経験を私たちはしました。その中で「健康は日々の生活の上に成り立っている」という事に気が付き、生活習慣を見直した方も少なくはないのではないかと思います。「未病」という東洋医学の考え方も多くの人が知る機会にもなりました。この経験を喉元過ぎたら終わりにせずに、得た経験から「自分の健康は自分でコーディネートする」そんな形で生かしていきたいものですね😊
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「五種類の動物」
●虎:虎戯(hǔ xì)
 関連する季節は「冬」、五臓は「腎」、五腑は「膀胱」、五体は「骨」、五行は「水」
 虎のような「猛々しさ」と「虎視眈々(狙いを定める)」といった眼力を重視します。
●鹿:鹿戯(lù xì)
 関連する季節は「春」、五臓は「肝」、五腑は「胆」、五体は「筋」、五行は「木」
 鹿の軽快なステップとしなやかでのびやかな動きが特徴です。
●熊:熊戯(xióng xì)
 関連する季節は「土用」、五臓は「脾」、五腑は「胃」、五体は「肉」、五行は「土」
 穏やかにのっそりとした動作の中にある熊の力強さを意識することを重視します。
●猿:猿戯(yuán xì)
 関連する季節は「夏」、五臓は「心」、五腑は「小腸」、五体は「脉」、五行は「火」
 猿の身軽に躍動する様、機知的に素早い動きが特徴です。
●鳥:鳥戯(diǎo xì)
 関連する季節は「秋」、臓器は「肺」、五腑は「大腸」、五体は「皮」、五行は「金」
 鳥の中で一番長寿なのは鶴。翼を広げ、空中を旋回する様子が特徴です。
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